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英日翻訳 監修者からのメッセージ

監修者:佐藤 洋一
国際基督教大学教養学部理学科卒業後、東京工業大学大学院修士課程を修了。大学在学中から、論文・特許などの翻訳を始め、翻訳会社勤務を経て、フリーの実務翻訳者として独立。長年、翻訳学校講師を務め、数多くの翻訳家を育てている。『BASIC800で書ける!理系英文』(ソフトバンククリエイティブ)や『はじめての理系英語リーディング』(アルク)、『詳解 技術英文大全』(オーム社)など、著書・訳書も多数。「英日マルチジャンル翻訳コース」「日英実務翻訳コース(テキスト5〜6)」監修・執筆。
Q.1
講座のことをお聞きする前に、最近の実務翻訳の動向についてお聞かせください。
実務翻訳には近年、翻訳学習者の注目も集まっているようですが?

A.
翻訳業界の全貌というのは、なかなかつかみづらいのですが、実務翻訳のマーケット規模は、誰も把握できないぐらい巨大だと思います。企業内翻訳も含めれば、出版翻訳の10〜100倍くらいになるかもしれません。

特に今伸びているのは、中国市場。中国から日本へはさまざまな製品が輸入されていますが、その製品のマニュアルは英語であることがほとんどです。中国語と英語は、言語構造が似ていますので、比較的しっかりした英文が多いですね。このような、中国で生産された製品の英日翻訳の需要も増えています。この逆の、中国向け製品の日英翻訳も増えていますね。こうしたニーズは中国経済の発展につれ、今後も伸びていくのではないでしょうか。

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Q.2
先生が実務翻訳家をめざすようになったきっかけは?

A.
私は大学4年生の時に、アルバイトで特許関係の日英翻訳をしたのですが、当時としては収入がよく、大きな家電メーカーの初任給ぐらいの収入は得られたと記憶しています。仕事はたくさんあるのに、翻訳をする人、特に若い人は少ないという状況でした。

もともと私は理系で、英語はあまり得意ではなく、正直苦手でしたが、文章の読み書きは好きでしたので、英会話などの「話す・聞く」と違い、時間をかけてじっくりと取り組める「翻訳」は、私には合っていたと思います。大学院でも、海外の論文を読んで日本語に訳してゼミで発表することが多かったので、翻訳自体には慣れていたかもしれません。

翻訳には、研究者の「何かを突き詰めて考える」という姿勢に、相通じるものがあると思います。研究では、例えば何か疑問点があったら突き詰めて自分で考え、仮説を立て、実験でそれを証明していくというプロセスがありますが、実務翻訳でも「これはこう訳すのではないか」と仮説を立て、検証していくという点がよく似ています。今回の「実務翻訳ベーシックコース」では、こうしたプロセスの中から得られたノウハウを皆さまにわかりやすく、体系的にまとめています。

また、普通の一般的な仕事では、何かの一部分だけを任されるということも多いかと思いますが、翻訳は自分の力で「1本の原稿を最初から最後まで仕上げられる」というところも魅力ですね。私のまわりにも、「楽ではないが、やっていて楽しくやりがいがある」という実務翻訳者は多いですよ。

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Q.3
先生が実際の翻訳作業の中で獲得されたノウハウが随所に反映されている「実務翻訳ベーシックコース」ですが、本コースを最初に企画された際にお考えになっていたことをお教えください。

A.
このコースを考えるにあたりイメージしたのは、車の「教習所」です。教習所は、それほど広くはない敷地ですけれど、踏切や坂道などいろいろなパターンの道路が設置されていますよね。ここで勉強して、公道に出て路上教習を経ることで、日本中の道路を安全に走れるようになれます。

本コースのテキストは全部で3冊ありますが、前半の2冊は文法をベースに翻訳テクニックが学習できるようになっています。先ほどの例えで言うと「教習所の敷地の中」での学習というイメージですね。文法項目ごとに教習コースができていて、翻訳の基礎技術が学べます。3冊目は、前の2冊で学んだ内容をどのように応用するかを身につけるため、長めの文章で実務翻訳の演習を行います。これは、例えれば「路上教習」でしょうか。

このようなプロセスで学習していただければ、晴れて皆さまも日本中の道路を走れるようになる、つまり、いろいろな実務翻訳の文書に取り組むことができる「基礎+応用力」が身につくということです。今回のコースは、こんなイメージをもとに作り始めました。

また、このコースは、実務翻訳初心者だけでなく、ある程度翻訳を勉強された方の再学習にも適した講座になっています。独学で翻訳学習をしてきた方にとっては、もう一度「教習所」で再学習することで、さらなるレベルアップが可能になります。

実際、実務翻訳の現場で活躍されている方を見ても、マニュアルや契約書など、文体的・内容的にも非常に特化されたスキルを積み上げてはいるけれども、「あらゆる分野に共通して応用できる翻訳テクニックは意外と知らない」というケースが多く見受けられます。そのような方々も、仕事の間口を広げる意味で、ぜひ本コースを活用していただければと思います。

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Q.4
それでは、この講座を修了すると、どのような力が身につきますか?

A.
一言で言うと、「独学では学びにくい実務翻訳の基本テクニックと、それを活用するための応用力」が身につきます。「学校英語などで皆さまがこれまで学んできた英文法をベースに、実務翻訳の基本テクニックを体系的に身につけていただこう」という考えは、私にとっては初めてに近い試みでしたが、効率のよい翻訳学習が可能になったと思います。

世の中にはよい文法書はたくさんあると思いますが、例文や解説等、実務翻訳に特化したものは残念ながらほとんどありません。よく「実務翻訳を基礎から体系的に学ぶことは難しい」と言われるのですが、実際の文書をただ場当たり的に訳していても効率がよくないのは明らかですよね。私は、「何か体系づけた方が、効率よく短期間で皆さまの実務翻訳の基礎力が身につく」と思いましたので、その体系づけるベースとして「英文法」を選びました。文法ならば、中学・高校の時から学習しているので、誰にでも親しみがあり、無理なく取り組めるのではないでしょうか。

本コースを受講していただくと、実務翻訳に直結する英文法力が体系的に身につき、同時に実務翻訳に必須の翻訳テクニックがマスターできるようになります。実務翻訳のプロになるための基礎固めには最適の講座だと思います。

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Q.5
最後に、実務翻訳家をめざしている方々に、何か一言お願いします。

A.
今後、英語の読み書きの技術はあらゆる分野で必要になってきますので、実務翻訳の学習は必ずや将来何かの役に立つはずです。また、実務翻訳のニーズは膨大にあるため、優秀な翻訳者は常に不足しています。皆さまがこれから学習して翻訳家になり、活躍する場はたくさんあるということです。実際、主婦の方でもバリバリ稼いでいらっしゃる方は多いですしね。他にも、実務翻訳には「一生続けられる仕事」「『きちんとやり遂げた』という達成感が得られる、やりがいのある仕事」「勉強を通じて日本語の面白さを再発見できる」「知的好奇心を満たしてくれる」など、いろいろなメリットがあげられます。

もうひとつ最後にお伝えしたいことは、「実務翻訳に特殊な才能は要らない」ということです。学習した量・時間と経験年数に比例して、実務翻訳の力は着実に蓄積されていきます。そういう努力を裏切らないのが実務翻訳だと言えます。この冊子をお読みいただいた方には、ぜひ、本コースをスタートラインとして、楽しんで実務翻訳の学習を続けていってほしいと思います。