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猪浦道夫の外国語とつきあう方法

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猪浦道夫(いのうら みちお)
翻訳家。横浜市立大学、東京外国語大学イタリア語学科卒業後、同大学大学院修士課程修了。イタリア政府留学生としてローマ大学留学。帰国後、ポリグロット外国語研究所を主宰。著書に『英語冠詞大講座』『語学で身を立てる』『3語で話すスペイン語』などがある。

第62回 助動詞 may(1)・・・許可を表す用法


 51回の記事で、「仮定法現在の代用としての may」といういささか特殊な観点からこの助動詞を扱いましたが、今回はオーソドックスにこの助動詞を検討してみたいと思います。

 皆さんは may というと、まず「〜してよい」という許可の意味を思い出されることでしょう。そして、おそらく経験から感じられていると思いますが、この意味が日常の会話では容易に can にとって代わられ、may を使うと何やらいくぶんかしこまった感じがし、あるいは英国で品のよい紳士によって多用されるような印象をお持ちではないでしょうか。

 それはなぜなのか、また、もうひとつの意味である「〜かも知れない」という意味や、その過去形の might とはどういった関連があるのか、そのあたりを勉強してみましょう。

 では、例によって、まず、次の日本語を英語で書いてみてください。

【課題】

1)君はもう外出してよろしい。

2)リチャードはもう外出してよい。

3)君の言い分は間違っているかもしれない。君は誤りをおかしているかもしれない。

4)君はこの部屋にいなくてよい。

5)学生はこの目的のために辞書を使ってはならないものとします。

6)辞書はこの部屋から移動される(be removed)ことはできない(=辞書類はこの部屋から帯出禁止)

7)ここで飲食してよろしいですか。

8)(7の質問を受けて) はい、どうぞ。/ いいえ、いけません。

9)子供達は放課後サッカーすることが許されていた。

10)先生は生徒たちが川で泳いでよいと言った。

11)ダウンタウンに行くなら、そう言ってくれればいいのに。

12)君は真実を知っていたんだろ。彼女に言ってあげてもよかったのに。

13)明日会合に出させていただいてよろしいでしょうか。

14)(13の質問を受けて) はい、いいですよ。 / いいえ、困ります。

15)お尋ねしてよろしければ、どうしてクライアントはためらっているのですか。


 さて、解説に入るまえに、may の素性について知っておきましょう。実は、この助動詞はかつては「〜できる」の意味でした。もっと言えば「力をもつ」の意味で、それはこの動詞の過去分詞から派生した might(能力、知力、体力)やその形容詞形の mighty に残っています。

 因みに can はどういう意味だったかと言うと、本来「知っている」の意味の本動詞でした。k(g)_n の音は know や gnosis などの単語に残っています。フランス語の savoir と同様、ロマンス語系の言語では「能力的にできる」という意味を「知る」という意味の動詞で表しますし、日本語でも「術を知る」という表現がありますから、この現象は納得がいきます。

 さて、can が歴史とともに「できる」の意味範囲に使われるようになるのに並行して、may はもっぱら「許可、可能性」を表わすようになっていきます。「可能性」と言えば can もこの領域を支配していますが、これについては次回検討することにして、今回は「許可」の意味範囲のことについて考えてみましょう。

【訳例と解説】

1)君はもう外出してよろしい。

You may go out now.

 もっともオーソドックスな may の使い方ですね。英会話に長けた方は、現実にはこのような言い方はほとんど使わないでしょう。なぜなら、先生や上司のような目上の人が目下の人に許可を与えるような、尊大で横柄な印象を与えるからです。このような偉そうな響きを避けるためには can を使って You can go out now. と言います。

2)リチャードはもう外出してよい。

Richard may go out now.

 この文は前文と文型は同じですが、主語が2人称でないと「可能性」の意味、つまり「外出するかもしれない」の意味にもとれる、というところが味噌です。この意味の差は may に強勢を置くかどうかで区別されるのが通例です。すなわち、許可の意味を表わす場合には may に強勢を置いて発音するのです。

3)君の言い分は間違っているかもしれない。君は誤りをおかしているかもしれない。

You may be wrong.  You may be making a mistake.

 主語が you であっても、動詞が状態動詞や進行形のときには、may は「可能性」を表わすことになります。

4)君はこの部屋にいなくてよい。

You may not stay in this room.

 この文はトリッキーです。上の意味にするためには、not に強勢を置いて読む必要があります。そうすると「not stay が許される」という意味になるわけです。普通の読みかたをすると「stay がmay not である」ということで、「ここにいてはいけない」の意味になるわけです。なお may not を must not に変えるとさらに強い禁止を表します。

5)学生はこの目的のために辞書を使ってはならないものとします。

The students may not use dictionaries for this purpose.

 否定形 may not は話し手や書き手の許可を表すために用いられます。規定、掲示、法律文など多少硬い文体で多く用いられ、普通の文体では can, be allowed to の否定形のほうがよく用いられます。

6)辞書はこの部屋から移動される(be removed)ことはできない(=辞書類はこの部屋から帯出禁止)

Dictionaries may not be removed from this room.

 この例のように、may not は受身の不定詞を従えることもあります。

7)ここで飲食してよろしいですか。

May I eat and drink here?

 許可を求める典型的な表現ですが、相手の権限を尊重する感じがするので、日常より頻繁に聞かれる Can I …? より丁寧で堅い表現です(もっとなれなれしい表現としては Is it all right if … というのがあります)。このタイプの文は通例否定形では用いられません。

8)(7の質問を受けて) はい、どうぞ。/ いいえ、いけません。

Yes, you may. / No, you may not.

 一応文法上は上の言い方が正しいわけですが、昨今は、現実にはこうした言い方はかなり尊大な響きがしますので、目上の者が目下の者に向かって言う場合に限ると言ってよいでしょう。

 普通の言い方としては、肯定の場合 Of course you can. / Yes, certainly. / Why not? のように、否定の答の場合は I’m sorry you can’t. などと言うのが普通です。

9)子供達は放課後サッカーすることが許されていた。

The children might (could / were allowed to) play soccer after school.

 許可の用法の may の過去形としては might がありますが、これを使うのはまれで、could や be allowed to を使うのが普通です。それぞれ否定形で用いることも可能です。この用法の might は、文法上は直説法の過去形です。

10)先生は生徒たちが川で泳いでよいと言った。

The teacher said (that) pupils might swim in the river.

 これは容易な文だと思いますが、時制の一致によって might になった may ですので、これも直説法の過去形です。

11)ダウンタウンに行くなら、そう言ってくれればいいのに。

You might tell me before you go downtown.

 この文では、tell me は実際には行われなかった事柄ですので、ここで使われている might は仮定法過去ということになります。しかし意味的には許可を表しており、「君は言ってもよい(のに)」ということで、その気なら言えるのにという、やや苛立ち、場合によっては非難に近いトーンの表現になっています。

12)君は真実を知っていたんだろ。彼女に言ってあげてもよかったのに。

You knew the truth. You might have told her.

 前問のようなケースを過去にすると「might + 完了不定詞」の形式を使います。これは may の仮定法過去完了に相当する表現です。

13)明日会合に出させていただいてよろしいでしょうか。

Might I (possibly) attend the meeting tomorrow?

 may I … の表現で may を仮定法過去にすると、相手にお伺いを立てる感じの大変丁寧な表現になります。この表現は英国英語でしかもとても改まった表現で、しばしば possibly を挿入してへりくだった感じを出します。米語なら言うにしても I wonder if I might … とか Do you think I might … のように表現されるでしょうか。

14)(13の質問を受けて) はい、いいですよ。/ いいえ、困ります。

Yes, you may. / No, you may not.

 質問で might が使われているからと言って、× you might. とか × you might not. とは言えません。might には、相手に許可を与える用法はないのです。

15)お尋ねしてよろしければ、どうしてクライアントはためらっているのですか。

If I might ask you, why is the client hesitating?

 意見を述べたり質問をするときに say, ask, tell などを伴って控えめに了解を求める感じが出せます。if は省略されることもあり、前置き的なフレーズを形成します。may も使えますが、might のほうがより丁寧な響きになります。


 以上のように、許可を表わす may は一見やさしそうですが、なかなか奥が深いですね。筆者の経験では、英国の上級階級の友達はとても may をうまく使っていると感じました。米語的なフランクな英語もよいけれど、彼らと知的なトークをしていると何かとても幸せ感を感じるのでした。


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