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猪浦道夫の外国語とつきあう方法

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猪浦道夫(いのうら みちお)
翻訳家。横浜市立大学、東京外国語大学イタリア語学科卒業後、同大学大学院修士課程修了。イタリア政府留学生としてローマ大学留学。帰国後、ポリグロット外国語研究所を主宰。著書に『英語冠詞大講座』『語学で身を立てる』『3語で話すスペイン語』などがある。

第61回 助動詞 must(2)・・・必然性・推量を表す用法


 前回は助動詞の must の「義務、命令」の意味の場合をいろいろ考えてみましたが、今回は must のもうひとつの意味である「必然性や推量」を意味する場合について、勉強してみましょう。

では、例によって、まず、次の日本語を英語で書いてみてください。

【課題】

1)ジョージは顔色が悪い。具合が悪いに違いない。

2)教室はふさがっているので、君たちは図書館で勉強しなければならない。

3)ルーシーは3時間前からここにいないのだから、図書館で勉強しているに違いない。

4)彼らが君をサポートするのだから、その計画は成功するに違いない。

5)ジョージは顔色が悪かった。具合が悪かったに違いない。

6)ルーシーは3時間前からそこにいなかったのだから、図書館で勉強していたに違いない。

7)ダブリンでは雪が降っているに違いない。

8)ドアをノックする音がした。私はジェインに違いないと思った。

9)今日は気温がそんなに高くないので、彼は疲れているはずがない。

10)昨日は気温がそんなに高くなかったので、彼は疲れていたはずがない。

11)ドロシーが彼のプロポーズを受け入れるはずはない。

12)ドロシーが彼のプロポーズを受け入れたはずはない。

13)悪い種(seed)は必ず悪い実(corn)をつくる(produce)。

14)もし彼女は彼の本性を知っていたら、嫌いになったに違いない。

15)アンドリューは父親が引退する前に医師になっていなければならない。


 must の抱える問題は、前回お話ししたように、この動詞が「過去現在動詞」と呼ばれる特殊な動詞で、過去形をもたないこと、それと、その否定形が must not, cannot にまたがって混同しやすいこと、さらに、「推量の否定」で使われる can が仮定法と間違われやすいので、(can 自体は過去形を持つにも関わらず)この意味では、過去形をつくるために完了不定詞による can't have p.p. という形式を使うことによって複雑なものにされている、という点です。

 では、答え合わせをしつつ解説していってみましょう。

【訳例と解説】

1)ジョージは顔色が悪い。具合が悪いに違いない。

George looks pale. He must be sick

この問題からわかるように、must には「話者の強い確信」を表わす意味があります。学校で英語を習うときには、一般に「〜に違いない」という訳語が当てられていますが、日本語で考えても「彼はあれだけ鍛えたのだから強くなければならない」という発想から「強いに違いない」の意味が派生するのはよくわかります。

2)教室はふさがっているので、君たちは図書館で勉強しなければならない。

You must study in the library because the classroom is occupied.

must は、前回扱った「義務」の意味で使うときには「動作動詞(または意志動詞)」とともに使うのが普通であるのに対し、「推量」の意味で使うときは、一般に「状態動詞(または無意志動詞)」を従えます。文脈がはっきりしていれば「動作動詞」が来ることもありえますが、単独で使うと「〜しなければならない」の意味と紛らわしいことがあるので使用には留意する必要があります。このケースでは、because … で示された前提がないと、意味が紛らわしいことがおわかりでしょう。実際、もし主語が they であれば、「勉強しなければならない」なのか「勉強しているに違いない」のどちらの意味なのか、明確ではありません。

3)ルーシーは3時間前からここにいないのだから、図書館で勉強しているに違いない。

Since Lucy hasn't been here for three hours, she must study in the library.

前問と異なり、この文では、Since … の内容から「推量」の意味であることが明白です。

4)彼らが君をサポートするのだから、その計画は成功するに違いない。

That plan is bound to succeed because they support you.

この問題は、日本語を吟味するとわかると思いますが、この文の「〜に違いない」は将来のことについて言及しています。このようなケースでは be bound to inf. を使うのが適切です。

5)ジョージは顔色が悪かった。具合が悪かったに違いない。

George looked pale. He must have been sick.

この文は 1) を過去にしたものですが、「〜に違いない」の過去形は、やはり must に過去形がないのと、義務の用法の場合のように had to で代用することもできないので、完了不定詞を用いて must have been の形でこの意味を表します。

6)ルーシーは3時間前からそこにいなかったのだから、図書館で勉強していたに違いない。

Since Lucy hadn't been there for three hours, she must have studied in the library.

3) の文を過去にすると、must inf. のところが must have p.p. となります。

7)ダブリンでは雪が降っているに違いない。

It must be snowing in Dublin.

must の後に進行形が来るときは「〜に違いない」の意味になるのが普通です。

8)ドアをノックする音がした。私はジェインに違いないと思った。

There was a knock on the door. I thought it must be Jane.

must は、前回お話ししたように「過去現在動詞」で、それ自体がもともと過去形だったので、対応する過去形がありません。従って、時制の一致は必要ありません。つまり、主節の動詞が過去形の従属節内において「過去形」として機能するわけです。

因みに、回想的叙述や描出話法においては、独立節中においても過去形として機能します。こうした使い方は、考えようによっては歴史的現在の用法とも言えるでしょう。

cf. John was bored with his work; he must always be stopping to smoke.

9)今日は気温がそんなに高くないので、彼は疲れているはずがない。

He can’t be tired, because the temperature is not so high today.

「〜に違いない」の反対は「〜であるはずない」ですが、これは must not ではなく can't を使います。can't は言うまでもなく cannot の略式形ですが、「〜のはずながい」の意味のときには、正式な形としても can't を使います。cannot の語形は、強調、対比、修辞的効果を狙う場合など、特殊なケースを除いてはあまり用いられません。

10)昨日は気温がそんなに高くなかったので、彼は疲れていたはずがない。

He can't have been tired, because the temperature was not so high yesterday.

前問を過去形にすると、can’t inf. は couldn’t になるのではなく、can't have p.p. になります。ここではcouldn't inf. にすると仮定法過去に受け取られてしまうからです。

11)ドロシーが彼のプロポーズを受け入れるはずはない。

Dorothy can't accept his proposal.

動作動詞(意志動詞)でも「〜なはずはない」の意味になります。

12)ドロシーが彼のプロポーズを受け入れたはずはない。

Dorothy can't have accepted his proposal.

前問を過去にすると can't have p.p. の形式を使います。

13)悪い種(seed)は必ず悪い実(corn)をつくる(produce)。

Bad seed must produce band corn.

must は場合によって、「〜ねばならない」という発想から、「必ず〜する、〜するのは避けられない、〜しないではおかない」といった必然性のニュアンスを帯びることがあります。

14)もし彼女は彼の本性を知っていたら、嫌いになったに違いない。

If she had known his real nature, she must have hated him.

仮定節に過去完了が用いられている仮定文の主節(=帰結節)では、must have p.p. の形式は、「きっと〜であったろうに」の意味として使われます。日本語訳の表現は類似していますが、これまで見てきた文と異なり、「推量」というより、事実に反する仮定の帰結(従って、推量ではなく「非現実」と断定されている事柄)であることがわかります。

15)アンドリューは父親が引退する前に医師になっていなければならない。

Andrew must have become a doctor before his father retires.

must have p.p. の形式は、ときとして「〜してしまっていることを要する」という「完了している必要性」を表します。この語法は have to inf. で置き換えられます


 いかがですか、一通り、must をおさらいできましたか。can't have p.p. の形はうまく使えない学習者が多いので、よくマスターしてください。couldn't inf. と混同しないように。


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