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猪浦道夫の外国語とつきあう方法

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猪浦道夫(いのうら みちお)
翻訳家。横浜市立大学、東京外国語大学イタリア語学科卒業後、同大学大学院修士課程修了。イタリア政府留学生としてローマ大学留学。帰国後、ポリグロット外国語研究所を主宰。著書に『英語冠詞大講座』『語学で身を立てる』『3語で話すスペイン語』などがある。

第67回 助動詞 would とshould (1) 直説法過去形としての用法


 まずは、例によって、腕試しで次の日本語を英語で書いてみてから、解説をご覧ください。

【課題】

1.ジェインにプロポーズすると私は言いました。

2.次の誕生日で30歳になると私は言いました。

3.ジェインにプロポーズすると君は言いました。

4.次の誕生日で30歳になると君は言いました。

5.ジェインにプロポーズすると彼は言いました。

6.次の誕生日で30歳になると彼は言いました。

7.彼は学生の頃よく山登りにいったものだった。

8.彼女がどうしても謝礼を受け取ろうとしないので、私は当惑した。

9.私はそのボトルを開けようとしたが、どうしても開かなかった。

10.その年、私は生涯の友となるホプキンス氏に出会った。


 さて、それでは解説します。

 今回から、歴史的には will と shall の過去形である would と should の用法を解明していきたいと思います。このエッセイの読者の皆さんのなかにも、would と should を自信もって使いこなせていると断言できる人は少ないのではないでしょうか。筆者もそのひとりですし、またネイティブスピーカーのインテリでも「何となく使えて」いて、理論的にここはこうだからと説明しきれる人はいないのではないかと思われます。

 これら2つの助動詞がここまで混乱を極めることになった原因は、既に再三言及したと思いますが、次のような点が原因だと思われます。

  1. 本来未来形をもたなかった英語が(おそらくフランス語との接触によって)未来形を創造する必要性に迫られ、それを実現するために、本来話法の助動詞であった will, shall を「未来形という時制の助動詞に(中途半端に)転用した。「中途半端に」と言ったのは、現代英語の will, shall, would, should には「話法の助動詞」の側面も十分残されているからです。

  2. will, shall が未来形を作る助動詞としての機能を担うことになるに伴って、フランス語の直説法過去未来形(のちの条件法現在)を表すために、その過去形である would, should が使われるようになった。

  3. 英語における will, shall の仮定法過去もやはり同形の would, should であり、これはこれで現在に存続している。

  4. 英語の仮定法過去の would, should はやがて「過去現在動詞」化し、一種の「現在形の話法の助動詞」として独立するに至っている。(「過去現在動詞」とは、 must がその好例であるように、もともと過去形だった動詞が現在形の意味で用いられるようになったものを言います。)

 このような歴史的経緯を踏まえて、would, should の用法を網羅して、その用法をつぶさに分析してみると、次のように整理するのがもっとも合理的でわかりやすいと思われます。

  1. 直説法の過去形

  2. 仮定法の過去形

  3. 過去現在動詞化した「直説法現在形」

 上の項目を見てお分かりのように、(仮定法の何たるかをよく理解していないにもかかわらず)一般の学習者には「仮定法のイメージ」が強い would, should には、直説法の用法も厳然と残っていることに注目してください。

 というわけで、今回は 1. の直説法過去形の would, should を応用した文を書いてみていただきました。

【課題の訳例と解説】

1.ジェインにプロポーズすると私は言いました。

 I said that I would propose to Jane.

 従属節内における1人称の過去のある時点から見た意思未来の例です。

2.次の誕生日で30歳になると私は言いました。

 I said that I would be thirty next birthday.

 従属節内における1人称の過去のある時点から見た単純未来の例です。

3.ジェインにプロポーズすると君は言いました。

 You said that you would propose to Jane.

 従属節内における2人称の過去のある時点から見た意思未来の例です。

4.次の誕生日で30歳になると君は言いました。

 You said that you would be thirty next birthday.

 従属節内における3人称の過去のある時点から見た単純未来の例です。

5.ジェインにプロポーズすると彼は言いました。

 He said that he would propose to Jane.

 従属節内における3人称の過去のある時点から見た意思未来の例です。

6.次の誕生日で30歳になると彼は言いました。

 He said that he would be thirty next birthday.

 従属節内における3人称の過去のある時点から見た単純未来の例です。

 以上の問題は、過去から見た未来を表す「過去未来形」とでもいう直説法の用法です。非現実になる可能性を含んでいるわけではありませんから、仮定法の用法ではありません。

7.彼は学生の頃よく山登りにいったものだった。

 He would (often) go mountain climbing when he was a student.

 would は、ふつう過去を表す副詞(句)をともなって「過去の習慣、習性」を表します。これは本来「〜したい」という意味の話法の助動詞であった will の意味が残されている用法と考えることができます。この「〜したい」という気持ちを過去の一定の期間繰り返されたものととれば、当然こうした意味が出てきます。
ちなみに、この文は would を used to で差し替えて言えますが、過去の状態を表す表現では would は使えません。したがって、「以前は魚が好きだった」は I would like fish before. は不可で、I used to like fish before. と言わなければなりません。

8.彼女がどうしても謝礼を受け取ろうとしないので、私は当惑した。

 I was perplexed because she wouldn’t receive the reward.

 would は本来の will の過去形と考えれば、「〜したかった、〜する意思があった」ということだから、過去における「固執」とか、否定形なら「拒絶」を表すことがあります。この場合、would に強勢を置いて発音します。そうでない場合は、一般的な行動意欲を指すことになります。

9.私はそのボトルを開けようとしたが、どうしても開かなかった。

 I tried to open the bottle, but it wouldn’t open.

 8. の用法を、主語をモノにして応用すれば、「(モノが)〜しようとする」というニュアンスから「(モノが)〜することができた」という能力を表します。ただし、過去であることが文脈上はっきりしないと、単に不確実性を表します。この場合で言えば、The bottle wouldn’t open. は「そのボトルは開かないだろう」という意味にとられるのが普通です。

10.その年、私は生涯の友となるホプキンス氏に出会った。

 That year I met Mr. Hopkins, who should be a lifelong friend.

 この場合のように、(特に英国では)単純未来に使われる shall が、時制の一致によって should になる場合があります。この用法も、非現実の可能性を帯びているわけではありませんので、直説法の過去未来形とでも言うべき用法です。もちろん、この文でも should は would で言い換えられます。
なお、2,3人称に使われる未来形の shall が時制の一致によって should になることもありえなくはありませんが、こうした用法は、現在、英国英語ですら稀になってきているので、あまり注目する必要はないでしょう。

 というわけで、まとめると、直説法過去形の would の用法には

  1. 過去から見た未来の出来事を表す
  2. 過去の習慣を表す
  3. 過去の固執、強い拒絶を表す

 と分類できるでしょう。

 最後に少し難しい話ですが、一応コメントしておきます。これら3つの用法も、実はルーツが異なります。

 1. の「過去未来」の用法は、もともと would(should) の後に来る本動詞に基軸があり、その本動詞を「過去未来形」にするための「時制の助動詞」と考えることができます。それが証拠に、この用法を仏訳すると、「本動詞の条件法現在」で訳されます。

 2. 3. の用法は、あくまで「話法の助動詞」としての will の「意思性」が主軸にあります。なぜなら、こちらを仏訳すると will に相当する vouloir が半過去になって表現されるからです。

 次回は、いよいよ最大の問題をはらむ「仮定法の would, should」にスポットをあててみます。


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