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猪浦道夫の外国語とつきあう方法

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猪浦道夫(いのうら みちお)
翻訳家。横浜市立大学、東京外国語大学イタリア語学科卒業後、同大学大学院修士課程修了。イタリア政府留学生としてローマ大学留学。帰国後、ポリグロット外国語研究所を主宰。著書に『語学で身を立てる』『3語で話すスペイン語』などがある。DHCカルチャーセミナーの講師としても活躍中。

第17回 接尾辞 -age をフランス語読みした単語

このエッセイは英語の語彙を基本にして書いていますが、今回はフランス語の語尾で、そのまま英語に入っていながら、なぜかフランス語読みのままの(従って、日本語でもフランス語読みのままの)単語を集めてみました。フランス語が英語においてもわざわざそのままの発音で読まれるというのは、それだけその単語がどこかフランス文化を彷彿とさせるおしゃれな感じがあるからです。そこで、日本語でもそのまま(場合によっては、フランスから直輸入で)入ってきている単語を探してみます。このエッセイの読者には女性がたくさんいらっしゃると思うのですが、フランス語っぽい単語は女性が知っているものが多いものです。

さて、皆さん、昨今日本人が使う外来語には、なんとなく語尾が「〜ジュ」になるものが多いと思いませんか。私、30分ぐらいあれこれ考えてみましたので、解説を読む前にどれぐらい知っているかチェックしてみてください。それではいきますよ。
マリアージュ、ルポルタージュ、カムフラージュ、サボタージュ、デカンタージュ、モンタージュ、コラージュ、ベルニサージュ、パッサージュ、マッサージ(ュ)、ポタージュ、 フロマージュ、イマージュ、オマージュ、ミラージュ、ソヴァージュ、エルミタージュ、ボンボヤージュ。随分あるでしょう?秘書に聞いたら、モイスタージュ、デコルタージュという商品名もあるそうです。「〜ジュ」というのは音がソフトで女性好みなのでしょう。

さて、これらの語彙注釈をする前に、語学的な説明をしておきます。この -age という語尾は、本来フランス語の動詞の現在語幹について男性名詞を作る語尾なのです。しかし、非常によく使われる接尾辞であることから、英語に夥しい数の名詞が流入してきています。そして、完全に英語化すると「エッジ(実際には「イッジ」に近い)」と読まれます。2、3例を挙げると、ヴィンテージ vintage、ヘリテージ heritage、パッセージ passage といった語があります。そうした中で、上にあげた語は、英語でもフランス語的外来語と受け取られ、フランス語読みされたのです。
それでは簡単に単語の説明をしておきます。マリアージュ mariageは「結婚」の意味で、ワインと食べ物の相性のことに使われますが、英単語としては辞書に存在しません。ルポルタージュ reportage(報道記事)はその中間で、英仏両方の発音で使われます。カムフラージュ camouflage(偽装)、サボタージュ sabotage(怠業)はフランス語発音のまま英語に導入されています。基になっているフランス語の動詞はそれぞれ reporter(元に戻す)、camoufler(偽装する)、saboter(怠業する)です。

デカンタージュ decantage は、英単語としては動詞の decant(ワインなどの上澄みを別の容器に移す)は入っていますが、名詞形は英語では decantation というようです。モンタージュ montage(合成写真)、コラージュ collage(切り貼りによる絵)はフランス語の発音のまま英語になっており、元になっているフランス語の動詞は monter(写真を合成する)と coller(糊で貼る)です。ベルニサージュ vernissage は「絵画展開催前日の内示展」を言いますがご存知でしょうか。英単語としては存在せず、基になっているフランス語の動詞は vernir(ニスを塗る)です。

パッサージュはパリでは「アーケード」を指すのですがご存知でしたでしょうか。英語読みすれば「パッセージ」で、音楽で使う用語になっています。この単語の基は passer(通過する)です。マッサージは英仏折衷読みみたいですが、フランス語には masser というれっきとした動詞があるのです。ポタージュは動詞はなくて名詞 pot(鍋)から派生しています。フロマージュ fromage(チーズ)はもともと *formage(ミルクを型(forme)に入れて作ったことから)といったのですが、音位転換という現象によって r の位置がひっくり返りこのような語形になりました。

イマージュ image、 オマージュ hommage(献辞)は動詞から派生した語ではありません。ミラージュmirage(蜃気楼)は戦闘機の名前で有名ですが、古い動詞 mirer(見る)に由来します。ソヴァージュ sauvage は「野生の」を意味する形容詞で、「森」を意味する古い語 selva に遡ります。エルミタージュ ermitage(隠者の住まい)は ermite(隠者)という名詞がその語源です。ボンボヤージュは bon voyage(よい旅行を)で、voyage という名詞から逆に動詞 voyger(旅する)が派生しています。
モイスタージュ moistage(?)は英語 moist からの造語と思われます。デコルタージュ decolletage(襟ぐりの広い服)はその語形にもかかわらず、れっきとした英単語です。


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