英語翻訳の通信講座ならDHC総合教育研究所の英語翻訳/サービス

講座検索ボックス

ご質問・ご相談もお受けします お電話無料 0120-118944 (月)〜(金)9:00〜17:00受付 ※祝日のぞく



猪浦道夫の外国語とつきあう方法

記事一覧へ

猪浦道夫(いのうら みちお)
翻訳家。横浜市立大学、東京外国語大学イタリア語学科卒業後、同大学大学院修士課程修了。イタリア政府留学生としてローマ大学留学。帰国後、ポリグロット外国語研究所を主宰。著書に『語学で身を立てる』『3語で話すスペイン語』などがある。DHCカルチャーセミナーの講師としても活躍中。

第20回 炎症」の接尾辞 -itis

 皆さんはギリシャ語源の接尾辞 -itis が「炎症」を表すことをご存知ですか。このことを知っていれば、体の部位を示す語幹の部分との結びつきに応じて、その単語がどの器官の炎症を表す言葉かわかることになります。
 体の部位を表す語幹の部分はラテン語やギリシャ語なので、日常会話で使われる英語本来の基本語と異なることもあります。今回はそのあたりを調べてみましょう。
 方法として、

  • 1)素人でも耳にしたことのある「〜炎」という疾患名を知っているかどうかチェックする。知らなかったら和英辞典で調べてみる。
  • 2) 当該の器官名を英語で言えるかどうかチェックする。
  • 3) 語幹の部分の綴りから派生したと思われる別の語彙を知らないか考えてみる。

ということをやってみます。
 始める前に、この -itis は発音は「アイティス」と読むこと、複数名詞はギリシャ語の変化にならって -ites(アイティーズのように発音する)と変化することを確認しておきましょう。

「気管支」は bronchus というのですが、「気管支炎」は bronchitis です。bronco- の部分が「気管支」を意味し、形容詞 bronchial や、 bronchospasm(気管支痙攣)などの専門語を派生させます。

「扁桃腺」は tonsil といいまして、「扁桃腺炎」は tonsi(l)litis といいます。tonsil- が「扁桃腺」を意味します。

「肝臓」は普通 liver といいますが、「肝炎」は hepatitis です。因みに、B型肝炎は hepatitis B といいます。語幹の hepato- の部分が「肝臓」を意味し、形容詞 hepatic をはじめ、いろいろな専門用語を派生させています。

「胃」は stomach ですが、「胃炎」は gastritis といいます。この語幹から gastronomy(美食)という語が思い浮かびますね。stomach はラテン語から英語に入った語ですが、本来はギリシャ語 stómachos(原義は「穴、開口部」)に由来します。もともと俗名っぽかったのですね。

「盲腸」は appendix といいますが、正式には vermiform appendix です。「盲腸炎」は appendicitis です。因みに vermi- は「虫」、form は「形」を意味するので、日本語の「虫垂」はこれをヒントにした訳語なのがわかります。英単語のなかにも vermin(害虫)という語があります。明らかに worm とは古い段階で同語源です。

「脳」は普通 brain といいますが、「脳炎」は encephalitis です。この encephal(o)- という語幹は「脳」を意味し、encephalic(脳に関係した)、encephalalgia(頭痛)などの語を派生させています。

「鼻」は普通は nose ですが、「鼻炎」は rhinitis といいます。俗名として nasal inflammation という言い方もします。rhino- の部分が「鼻」を意味するわけですが、rhinoceros(サイ)はここから派生しています。

「腸」は普通 bowel といいますが、「腸炎」は enteritis です。entero- が「腸」を意味する部分で、enteron は「腸管」の意味です。

「膵臓」は pancreas で、「膵臓炎」は pancreatitis です。

「腎臓」は普通には kidney といいますね。スコットランドの「キドニー・パイ」を思い出します。病名の「腎炎」となると nephritis です。この語幹からは「ネフローゼ(腎症)」nephrosis(ドイツ語でnephrose)という語が思い浮かびます。

「神経」は nerve といいますが、「神経炎」は neuritis です。neuro- は「神経」を意味する語幹で、たくさんの派生語を生んでいます。なかでも有名なのは neurosis(ノイローゼ)ですが、この単語がなぜ「ノイローゼ」と呼ばれるかというと、ドイツ語の neurose から日本語に入ったからです。eu の綴りはドイツ語で「オイ」と発音されるからです。最後の -ose は上述のネフローゼと同様、「病名」をつくるギリシャ語の接尾辞です。

さあ、いろいろ見てきて、「炎症」を表す語はほとんど -itisで終わることがわかりました。ひとつ有名な炎症が抜けていましたが、お気づきですか。それは「肺炎」です。「肺」は lung ですが「肺炎」は pneumonia で、珍しい例外です。lung からは aqualung(アクアラング) が思い浮かびます。

ところで、この -tis という接尾辞、会話では、少しふざけて、異常な性癖を表すことがあります。例えば「電話魔」は telephonitis、「フットボール狂」は footballitis といった具合です。最近は mobilephonitis が多いようですね。この単語、既に一部では使われ始めており、早晩辞書の見出し語に載るものと思われます。


  • 講座一覧へ DHCの講座をすべてご覧になれます。
  • おすすめ講座 比較表 レベル/学習時間/講座内容などを一覧で比較できます
受講生の声
講座を修了した方から届いたハガキです。
修了生インタビュー
講座を修了した方に、感想を聞きました!
翻訳家デビューインタビュー
DHCからプロ翻訳家デビューした方に聞きました!
書籍
修了生が参加した書籍や語学書をご紹介。
Mail Magazine
翻訳や、英会話に役立つ無料メルマガです。
  • お問い合わせ(info@edu.dhc.co.jp)