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英語業界人に聞く vol.23

翻訳家 田辺希久子さん
Translator: Kikuko Tanabe
東京教育大学教育学部卒業。ベルギーに1年間美術留学、帰国して出版社の編集者に。フリーになってから翻訳を手がけるようになり、約15年間、自己啓発書を中心に多数の訳書を出してきた。2001年に青山学院大学大学院国際政治経済学研究科国際コミュニケーション専攻修士課程修了。現在は青山学院大学と文化女子大学で非常勤講師を務めると同時に、日本通訳学会翻訳研究分科会員として活動。最近の訳書に『思考現実化13のステップ』(ナポレオン・ヒル著、ソフトバンククリエイティブ)、『営業が苦手な人のための営業入門』(ティム・コナー著、PHP研究所)、『富をもたらす習慣失う習慣』(オリソン・S・マーデン著、ソフトバンク クリエイティブ)など。

「翻訳の仕事は職人の世界と同じで、経験が大切です。一人前になるまでに一定の時間がかかるので、それまでの間をどう乗り切るかという問題もあります。言葉の勉強をすると同時に、そういう大変さについて理解することも必要でしょう」

ナポレオン・ヒル、ケン・ブランチャードなど、多数の自己啓発書を翻訳している田辺希久子さん。雑誌『ニューズウィーク』の翻訳を約10年間手がけた実績の持ち主でもある。今は大学で教える仕事もしている田辺さんに、翻訳の仕事をするために必要なことなどをうかがった。

翻訳の仕事はどのように始めたのですか?

元々、語学にとても興味があったんです。大学生のときに英語だけでなくフランス語も勉強し、卒業してからは美術の勉強をしようと、ベルギーに1年間留学しました。授業は全部フランス語で、そのころはよくフランス語の本を読んでいたものです。

帰国して出版社に就職、社会科学系の本の編集を手がけるようになりました。5年ほど勤めてからフリーの編集者として独立したのですが、語学が好きで翻訳に興味があったことから、いつしか翻訳の仕事も受けるようになったんです。

翻訳の勉強はどのようにしたのですか?

特に翻訳のための勉強というのはしたことがないのですが、編集の仕事をして、本づくりについての知識があったことが、翻訳の仕事をするうえで非常に役立ったと思います。原稿ができるとレイアウトをして校正をして……というプロセスがわかっていると便利ですし、読者にとってわかりやすい本にするためのコツというのも、なんとなくつかむことができます。

日本語については、編集者として人の文章を校正する仕事をしているうちに、力がついたのではないかと思います。翻訳家には編集者出身の人が多いのですが、それはやはり、編集の知識が翻訳するうえでの助けになるからでしょうね。また、あちこちに編集者の知り合いができたことも、その後の翻訳の仕事に有効につながっています。

自己啓発書の翻訳をされるようになったきっかけは?

翻訳の仕事を始めてからしばらく、『ニューズウィーク』などの翻訳をしていました。これもとても勉強になったんですが、90年代の後半、アメリカの自己啓発書が日本にたくさん入ってきて、それを翻訳する機会が増えてきました。それまで、「一般の日本人が、アメリカの自己啓発書を見て仕事や生活の参考にする」ということはあまりなくて、当初は出版社も「本当に売れるんだろうか」と懐疑的でした。ところが意外に注目されて、そのジャンルの本がたくさん出るようになったんですね。

1998年に出た『人生を複雑にしない100の方法』(ジャパンタイムズ)は、私にとってひとつの転機になりました。「無理はやめて、無駄なものは捨ててしまおう」という主旨の本なんですが、その後のシンプルライフブームの火付け役となり、私の仕事でも自己啓発書の翻訳の占める割合がさらに増えていきました。

本が売れる、売れないというのは、内容ももちろんですが、タイミングも非常に大切だと思います。その後、自己啓発書の翻訳ものはかなり需要が高く、いつも仕事がある……という状態が続いてきました。

自己啓発書の翻訳のコツは?

アメリカの自己啓発書は、キーワードをとても大切にするんです。例えば、最近訳した『リーダーの「伝える力」』(ダイヤモンド社)には、「事実・感情・シンボルで語りなさい」というサブタイトルがあります。元のサブタイトルはHow your communication can inspire action and get results!なんですが、本の中で著者が「事実(facts)・感情(emotions)・シンボル(symbols)」をキーワードとして使っていたので、版元の判断で訳書ではそれを採用することにしたんです。本に注目してもらえるかどうかはキーワードによって決まるので、訳語を決めるに当たっては結構気をつかいますね。

内容的なことで言うと、英語の文章のルールを、日本語にどう置き換えるかという点を工夫します。例えば、英語では「ワントピックワンパラグラフ」、つまり段落が変わるとテーマを変えるというルールがあるんですが、日本語の改行のルールはかなりあいまいですよね。英語のルールのままだと、頻繁に改行のある文に慣れている日本人にとっては読みづらくなってしまうので、あえて改行を増やしたりするんです。

大学で教えるようになったのはいつでしょうか?

『人生を複雑にしない100の方法』が出た後、自分で勉強し直したくなって、青山学院大学の大学院で国際コミュニケーションを学んだんです。いわゆる社会人大学院で、クラスメートには英語の先生や通訳者もいました。それを終えたころに、講師に、というお話がありまして、今、青山学院大学と文化女子大学で非常勤講師として教えています。

教え子の学生の中に、「翻訳家になりたい」という人もいたりしますが、翻訳の仕事は職人の世界と同じで、経験が大切なんですね。勉強を始めたばかりの人が、いきなり仕事を始めるというのは、なかなか難しいと思います。一人前になるまでに一定の時間がかかるので、それまでの間をどう乗り切るかという問題もあります。言葉の勉強をすると同時に、そういう大変さについて理解することも必要でしょう。

今ご興味のあることについて教えてください。

実は、大学で教えるようになったのがきっかけで、「日本通訳学会」の活動にも参加するようになったんです。名前は「通訳学会」ですが、「翻訳研究分科会」という翻訳を専門とする会があって、翻訳について理論的、学問的な研究を行っています。これまで自分で何気なくやってきたことがきちんと体系化されるようで、おもしろいですよ。

日本通訳学会
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jais/

取材・編集協力:eigoTown.com

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『リーダーの「伝える力」』
ボイド・クラーク&ロン・クロスランド 著、田辺希久子 訳(ダイヤモンド社/1575円)

アメリカの大手企業で長年コンサルティングを行ってきたコンビによる著書。田辺さんが指摘したように、本書のキーワードは「事実」「感情」「シンボル」。コミュニケーションにシンボルを必要とするという発想が新鮮。


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