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DHC翻訳新人賞 プロ翻訳家デビューインタビュー(渡辺 育子さん)

今回は、「英日出版総合コース」の修了後、『DHC翻訳新人賞』で入賞され、『ベスト・アメリカン・短編ミステリ』(DHC刊)の「ビーンボール」と「懐かしき青き山なみ」という作品を翻訳し、プロデビューされた渡辺 育子さんにインタビューしました。


翻訳書のお勧めの点はどのようなところでしょうか?

私が担当した2編のうち、「ビーンボール」という作品は、原書を読んで訳してみたいと思っていた作品です。主人公ドリスコルの殺人に至る動機が弱いと思ったり、決着のつけ方に抵抗を感じたりしながらも、主人公の野球に対する情熱と子どもたちに向ける優しい眼差しに惹かれました。彼の周囲に対する思いやりが全編に溢れていて好感が持てるいい作品だと思います。

もうひとつの作品「懐かしき青き山なみ」は、お節介な探偵が思わず犯罪を暴いてしまう筋立てに多少の無理を感じはしますが、一人称のハードボイルド調に引き込まれてしまいました。そのテンポを楽しめればいいかなと思います。

翻訳されてみていかがでしたか?

「ビーンボール」ではあまりよく知らない野球については連れ合いが頼りになりました。また「ファースト」「セカンド」を「一塁」「二塁」とするかなど、英語でも日本語でも使われている場合はどうするか迷いました。スペイン語が使われている部分は悩んだ末、ルビにしてあります。読み方についてはメキシコに住んでいた友人にお世話になりました。訳語に悩んでいたとき、不意にぴったりの言葉が浮かぶことがあり、それはとても嬉しいことでした。

「懐かしき青き山なみ」は一人称を「おれ」にするか「ぼく」にするか「わたし」にするかの問題がまずありました。「おれ」の場合、それに合わせてほかの表現もくだけた調子にしなければならないのでやめ。「ぼく」は主人公が中年なのでやめ。結局、いろいろと考えたあげく「わたし」としました。どちらも大変な作業ではありましたが、楽しく取り組むことができました。

翻訳家デビューが決まったときの気持ちをお聞かせください。

受賞者は新進作家の作品を訳すことになると予告されていましたので、ミステリの短編と知った時は驚きました。プロの作家のものを訳すということと同時に、昔からのミステリファンとしては願ってもないチャンスですから、どきどきしました。

“優秀賞受賞”からデビューにいたるまでの経緯は?

それまでに何回もDHC翻訳新人賞に応募していたので、優秀賞を頂いて有頂天になっておりましたが、この度自分で訳した小説が実際に本になるというチャンスを頂けたのはDHCのおかげだと思っています。

実際の作業は、2編を1カ月で訳さなければならなかったり、途中でパソコンが2回も壊れてしまったりと大変な思いをしましたが、いろいろご指導頂いてここまで漕ぎ着けました。いまは、ちゃんと読んで頂けるものができたかと不安になっています。

受賞の秘訣はどのような点にあったと思われますか?

夢中でしたのでとくに秘訣のようなものはありませんが、わからないことはよく調べることが必要だと思いました。昔と違っていまはネットで簡単に調べられるので、手間を惜しまないことが大切ではないでしょうか。

いつも私が注意していることは、だれにもわかりやすい文章を作ることです。翻訳は英文和訳とは違うので、「読者がいる」ということをしっかり意識し、格好よく決めてやろうと思わないで平易に簡潔に、を心がけています。

翻訳の勉強はいつから始められたのですか?

翻訳の勉強を始めたのは、50代に入ってからです。高校の頃から英語や国語は得意で大学は英文科に進んだのですが、その頃はまだ翻訳への興味は湧いていませんでした。大学卒業後、書籍輸入会社に約1年半勤め、その後結婚。子育てがひと段落した30代後半以降は、高校で英語の非常勤講師を務めましたが、英語を教えているだけだと自分が抜け殻みたいになっていくような気がしていました。

50代になって、英文学の講義だと思って申し込んだあるカルチャースクールが、実際は翻訳の講義だったことが、私と翻訳学習との出会いでした。そこでは半年間、朱牟田夏雄先生という方に翻訳のレクチャーを受けました。私の訳文に朱入れをしてくださったりして、翻訳の面白さにすっかりはまってしまいました。

そのスクールで出会った仲間たちとは、いまでも月2回のペースで「読書会」を開いています。 1冊の本をみんなで分担して訳す、というような会ですが、もう20年間続いています。


以前に修了された『英日出版総合コース』のお勧めな点は?

DHCの「英日出版総合コース」は他社の講座に比べて、短期間で出版翻訳の基礎を身につけられそうだったので受講しました。6カ月と短い間でしたが、いろいろな分野の英文を訳す充実したテキストで十分やりがいのある講座でした。自分ではわかっているつもりでも、読者にわかってもらえる訳を作る難しさを実感しました。それに、通り一遍の訳ではなく、原文の内容や表現を十分に咀嚼した訳にする必要性も学ぶことができました。

また、独学では独りよがりの訳になってしまいますので、添削のように第三者の目で見てもらう経験ができたこともよかったです。 自分で自分の訳文を何度チェックしたところで、蟻地獄のように同じところに落ちて行ってしまいますからね。

最後に、翻訳家を目指す方々へのメッセージをお願いします。

私は翻訳に出会うことによって、「生涯続けられるもの」と「友達」を得ることができました。翻訳とは、横文字をただ縦にするものではなく、文字の背後にある文化や社会の違い、また人間としての共通の思いなどを取り込んでいかなければならないと思っています。そういう作業がとても楽しいのです。

翻訳にはまってから普通の読書も一味違ってきました。作家の「てにをは」がとても気になったり、若い作家の受身の文に違和感を覚えたりするようになりました。読みやすい文を書く作家はいいお手本です。現在翻訳を趣味とするグループで楽しんでいますので、これからもいい仲間と読書兼翻訳を続けていきたいと思っています。 できるかどうかわかりませんが、仲間たちといい本を一冊訳してみたいと話し合っています。

インタビューは以上です。本日は、ありがとうございました!



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