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実践・実務翻訳のコツ(第11回)−中上級へチャレンジ!

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執筆:佐藤洋一(さとう よういち)
佐藤翻訳事務所代表
東京都出身。国際基督教大学教養学部理学科卒業後、東京工業大学大学院修士課程を修了。
在学中から、論文などの翻訳を始め、フェロー・アカデミーで学んだ後、(株)日本テックを経て、フリーの実務翻訳者として独立。翻訳学校講師も勤めている。『はじめての理系英語リーディング』(アルク)や『詳細 技術英文大全』(オーム社)など、著書・訳書も多数。
Q[前回の課題] 以下の英文を「である」「だ」調で翻訳してください。
Europe’s oldest stone hand axes emerge in Spain Findings suggest that tool advance occurred by 900,000 years ago, much earlier than previously thought

A new analysis finds that human ancestors living in what is now Spain fashioned double-edged stone cutting tools as early as 900,000 years ago, almost twice as long ago as previous estimates for this technological achievement in Europe.

ヒント


hand axes「握斧」、tool「道具」、Findings「調査結果」、human ancestors「人類の祖先」、fashioned「作っていた」、double-edged stone cutting tools「両刃の付いた石製の切削器」

科学ニュース記事の抜粋です。太字が記事の見出し、通常の書体が記事本文です。

今回も科学記事からの抜粋です。訳出上のポイントがどこにあるか見抜けたでしょうか。

今回のポイントは、タイトルと本文の日本語表現です。特に、本文はかなり長い英文なので、簡潔な日本語表現にまとめることが大切です。

いずれの箇所も、真意をしっかり汲み取ったうえで、読み手に対して誤解を与えない日本語表現で訳出する必要があります。

まずはタイトルを素直に直訳してみましょう。

直訳例


ヨーロッパの最古の石製の握斧がスペインで出現した
調査によると、道具の進歩は従来の推定よりもはるかに早い90万年前までに起こっていた。

この訳でも原文の意味は理解できますが、やはりタイトルとして不適切です。

ここでは、いわゆる体言止め(文末が名詞で終わる形)を利用すればすっきり書けそうです。

タイトルの前半は、文末が「〜が出現した」となっていますが、これを人主体表現(人が主語)に変換して「〜を発見」とすればより自然なタイトルとなります。

タイトルの後半はかなり改良の余地がありそうです。

ここでは「tool advance occurred by 900,000 years ago」と「much earlier than previously thought」の解釈に注目してください。

前者の真意は「遅くとも90万年前までには石製の握斧が出現していた」であり、後者は「従来の推定年代は90万年前の半分、すなわち45万年前」という意味です。

こうした真意を踏まえて直訳をあらためて読むと「ヨーロッパにおけるこの技術的達成の従来の評価のほぼ2倍であることを示唆している」では真意が十分に伝わらないことがわかります。

以下に改良訳を示します。

タイトルの改良訳


ヨーロッパ最古の石製握斧をスペインで発見
この種の道具はこれまで考えられていたよりもはるかに古い年代、遅くとも90万年前までには出現していた可能性を調査結果が示唆

いかがでしょうか。このように体言止めを使用すればタイトルらしい簡潔な表現になります。

次に本文の直訳例を示します。

【直訳例】


新たな分析によれば、現在のスペインに住んでいた人類の祖先は、早くも90万年前には両刃の付いた石製の切削器を作っていたことになり、ヨーロッパにおけるこの技術的達成の従来の評価のほぼ2倍である。

この訳でもかなり原文の意味は伝えていますが、やはり日本語として不自然です。

ここでは「almost twice as long ago as previous estimates for this technological achievement」の解釈に注目してください。

その真意は「(この種の道具の出現時期は)従来の推定年代(=45万年前)のほぼ2倍、すなわち90万年前」という意味です。

直訳の「この技術的達成の従来の評価のほぼ2倍である」では、ほとんど意味が伝わっていないことがお分かりだと思います。

以上を考慮して、直訳をリライトしたものが次の訳文です。

本文の改良訳


最近の分析によれば、現在のスペインに住んでいた人類の祖先は、早くも90万年前には両刃の付いた石製の切削器を作っていたことになる。これはヨーロッパでこの技術が出現したと考えられている従来の年代よりもおよそ2倍も古い時期だ。

この改良点のポイントは、「早くも」「古い」のように、年代を具体的にイメージできるように訳していることです。これにより、「従来の推定年代」がいかに大きくずれたものであったかが読者に明確に伝わります。

訳例


ヨーロッパ最古の石製握斧をスペインで発見
この種の道具はこれまで考えられていたよりも2倍以上古い年代、遅くとも90万年前までには出現していた可能性を調査結果が示唆


最近の分析によれば、現在のスペインに住んでいた人類の祖先は、早くも90万年前には両刃の付いた石製の切削器を作っていたことになる。これはヨーロッパでこの技術が出現したと考えられている従来の年代よりもおよそ2倍も古い時期だ。

以下、次回の翻訳課題です。

Q [英和課題] 以下の英文を「である」「だ」調で翻訳してください。

Evidence of ancient reversals of Earth’s magnetic field in soil at two archaeological sites indicates that hand axes date to 900,000 years ago in one location and to 760,000 years ago in the other, Scott and Gibert report in the Sept. 3 Nature. Until now, most researchers thought that hand axes unearthed at these sites were made between 500,000 and 200,000 years ago.

First tool
Researchers say that a stone hand ax, shown here from both sides, that was previously found in a Spanish rock shelter dates to 900,000 years ago, making it the oldest such implement in Europe.

ヒント


前回の課題の続きの英文。太字が図版の説明文。

ポイントはたったの1箇所(1ワード)です。そのポイントをしっかり見抜いてください。

それでは、次回のこのコーナーでまたお会いしましょう!


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