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実践・実務翻訳のコツ(第13回)−中上級へチャレンジ!

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執筆:佐藤洋一(さとう よういち)
佐藤翻訳事務所代表
東京都出身。国際基督教大学教養学部理学科卒業後、東京工業大学大学院修士課程を修了。
在学中から、論文などの翻訳を始め、フェロー・アカデミーで学んだ後、(株)日本テックを経て、フリーの実務翻訳者として独立。翻訳学校講師も勤めている。『はじめての理系英語リーディング』(アルク)や『詳細 技術英文大全』(オーム社)など、著書・訳書も多数。
Q [前回の課題] 以下の英文を「である」「だ」調で翻訳してください。

Carbon isn't found only in living matter. It's also found inside the Earth's mantle, the layer between the crust and the core, and in seawater, air, rocks and soil.
Soil is a great place for carbon. There, it may remain locked up for hundreds, thousands or even millions of years, adding nutrients needed for growing food. Keeping carbon locked up in the soil also provides a way to keep it out of the atmosphere.

ヒント


環境科学の記事の一部。水色の文字に注意して訳す。

今回の訳出上のポイントは水色の文字の文です。具体的にそのポイントがどこにあるか見抜けたでしょうか。

第1文はトピックセンテンスです。しかも短い英文なので、直後の英文を読んでから必要な情報を過不足なく伝達するような日本語表現にまとめることが大切です。

まずは第1文と第2文を直訳してみましょう。

第1文と第2文の直訳例


炭素は、生きている物の中でのみ見つけられるものでない。それは、地球のマントル、地殻とコアの間にある層、海水、空気、岩石、土壌にも含まれている。

一見すると問題なさそうですが、非常に多くの改良点がある訳文です。大意は伝わっていますが、原文の情報が十分に伝達されていません。

ここでは、先に改良訳を示します。

第1文と第2文の改良訳


炭素は、生物の体内にのみ見られるわけではない。地球のマントル(地殻とコアの間にある層)の内部や、海水、空気、岩石、土壌にも含まれている。

いかがでしょうか。赤字部分が改良箇所です。

まず、第1文は「生きている物の中⇒生物の体内」のように改良しています。ここでは前置詞inを「体内」のように具体的に訳しているのがポイントです。これは「品詞の転換」という基本テクニックの応用です。

また、第2文では、「地球のマントル、地殻とコアの間にある層」の部分を「地球のマントル(地殻とコアの間にある層)の内部」と改良しています。ここでもinsideを「内部」のように具体的に訳している点に注目してください。

「地球のマントル」と「地殻とコアの間にある層」は同格の関係になっています。
そのため、元の直訳例は誤訳になっている点に注意してください。

なお、第1文と第2文は主語(=炭素)が同じなので、このような同じ主語が連続する日本文の場合、2番目の文の主語は省略することができます。

次に、第2パラグラフの直訳を見てみましょう。

第2パラグラフの直訳例


土壌は炭素にとって素晴らしい場所だ。数百年、数千年、それどころか数百万年もの間、炭素を土壌中に閉じ込めておけるかもしれないし、作物の栽培に必要な栄養素をあとで提供できるかもしれない。炭素を土壌に閉じ込めることは、大気中へそれが出て行くことを防ぐ手段を提供する。

この訳でもそれなりに原文の意味は伝えていますが、日本語として不自然であるだけでなく、読者にとって重要な情報が伝わりにくくなっています。

最初の文は「素晴らしい場所」という逐語訳になっていますが、これは続く第2文以降の文脈から判断し、もう少し具体的に訳すとよいでしょう。第2文は「かもしれない」が重複しているので、前半の「かもしれない」は省略可能です。第3文は、1)provideを「〜できる」と訳すこと、2)itを具体的に訳すこと、の2点の改良点があります。

以上を考慮して、上記の直訳を全面的にリライトしたものが次の訳文です。

本文の改良訳


土壌は炭素の貯蔵場所としては最適だ。数百年、数千年、それどころか数百万年もの間、炭素を土壌中に閉じ込めておき、作物の栽培に必要な栄養素をあとで提供できるかもしれない。炭素を土壌に閉じ込めておくことができれば、大気中への炭素の放出を防ぐこともできる。

赤字が主な改良点です。「場所⇒貯蔵場所」のように、わずかに言葉を補うことによって、読者の理解が大幅にアップします。また、第3文の前半で「炭素を土壌に閉じ込めておくことができれば」のように条件的なニュアンス(if文に相当)を訳出している点にも注目してください。

訳例


炭素は、生物の体内にのみ見られるわけではない。地球のマントル(地殻とコアの間にある層)の内部や、海水、空気、岩石、土壌にも含まれている。

土壌は炭素の貯蔵場所としては最適だ。数百年、数千年、それどころか数百万年もの間、炭素を土壌中に閉じ込めておき、作物の栽培に必要な栄養素をあとで提供できるかもしれない。炭素を土壌に閉じ込めておくことができれば、大気中への炭素の放出を防ぐこともできる。

以下、次回の翻訳課題です。

Q [英和課題] 以下の英文を「である」「だ」調で翻訳してください。

Getting the dirt on carbon
Each year, spring comes, plants bloom and the trees leaf out in their full green glory.
Come fall, while diving into piles of fallen leaves, you may think the life cycle of the leaf has come to an end.
But that's not so. Once a leaf hits the dirt, a new cycle begins.
All those brightly colored leaves are like candy for fungi and bacteria on the ground.
These decomposers make nutrients available for other organisms.

ヒント


環境科学の記事の一部。次の訳語を使用する。
dirt(土)、carbon(炭素)、leaf(葉)、life cycle(ライフサイクル)、fungi and bacteria(菌類やバクテリア)、decomposers(分解者)、nutrients(栄養)、other organisms(他の生き物)

それでは、次回のこのコーナーでまたお会いしましょう!


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