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実践・実務翻訳のコツ(第14回)−中上級へチャレンジ!

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執筆:佐藤洋一(さとう よういち)
佐藤翻訳事務所代表
東京都出身。国際基督教大学教養学部理学科卒業後、東京工業大学大学院修士課程を修了。
在学中から、論文などの翻訳を始め、フェロー・アカデミーで学んだ後、(株)日本テックを経て、フリーの実務翻訳者として独立。翻訳学校講師も勤めている。『はじめての理系英語リーディング』(アルク)や『詳細 技術英文大全』(オーム社)など、著書・訳書も多数。
Q [前回の課題] 以下の英文を「である」「だ」調で翻訳してください。

Getting the dirt on carbon
Each year, spring comes, plants bloom and the trees leaf out in their full green glory.
Come fall, while diving into piles of fallen leaves, you may think the life cycle of the leaf has come to an end.
But that's not so. Once a leaf hits the dirt, a new cycle begins.
All those brightly colored leaves are like candy for fungi and bacteria on the ground.
These decomposers make nutrients available for other organisms.

ヒント


環境科学の記事の一部。次の訳語を使用する。
dirt(土)、carbon(炭素)、leaf(葉)、life cycle(ライフサイクル)、fungi and bacteria(菌類やバクテリア)、decomposers(分解者)、nutrients(栄養)、other organisms(他の生き物)

今回の訳出上のポイントは自然な日本語表現です。具体的にそのポイントがどこにあるか見抜けたでしょうか。

どのセンテンスも短い英文なので、意味は正しくつかめると思います。

ただし、それぞれの文をバラバラに考えるのではなく、全体を読んでから直後の英文とのつながりが自然になるような日本語表現にまとめることが大切です。

今回は、個々の英文について個別にポイントを解説します。原文の赤字部分が訳出上のポイントで、改良訳の赤字部分が改良箇所です。

(タイトル)


【原文】Getting the dirt on carbon
【直訳例】土を炭素の上にかぶせる
【改良訳】炭素を土に閉じ込める
【訳出上のポイント】
get onは「乗る、取り付ける、かぶせる」などの意味で用いられますので、直訳例でも間違いではありません。ただし、本文の内容から判断して、この場合はキーワードである「炭素」を主体とした表現にまとめるとよいでしょう。「土を〜する」ではなく「炭素を〜する」という逆転の発想で訳すのが正解となります。

(第1文)


【原文】Each year, spring comes, plants bloom and the trees leaf out in their full green glory.
【直訳例】毎年、春が来て、植物は花を咲かせ、木々は完全に緑の葉となって輝く。
【改良訳】毎年、春が来ると、植物は花を咲かせ、木々は青々とした葉を生い茂らせる。
【訳出上のポイント】
spring comesを直訳にしても間違いではないのですが、次の文を読むと「季節の変化」について述べている文であることが分かります。そこで、時間的な変化(季節の移り変わり)を強調するために改良訳のような表現にすると、次の文とのつながりがよくなります。

(第2文)


【原文】Come fall, while diving into piles of fallen leaves, you may think the life cycle of the leaf has come to an end.
【直訳例】秋が来て、落ち葉の山に飛び込むと、葉のライフサイクルはこれで終わったと思うかもしれない。
【改良訳】秋になり、降り積もった落ち葉を踏みしめていると、葉のライフサイクルはこれで終わったと思うかもしれない。
【訳出上のポイント】
先頭のCome fallを「秋になり」と訳したのは、第1文と同じように季節の移り変わりを表す表現です。ここでのポイントは、while diving into piles of fallen leavesの部分を直訳にせず、自然な日本語表現を工夫することです。ここでは、秋の落ち葉を踏みしめながら歩いている状況を視覚的にイメージするとよいでしょう。

(第3文)


【原文】But that's not so. Once a leaf hits the dirt, a new cycle begins.
【直訳例】だがそうではない。葉が土に当たると、新たなサイクル(循環)が始まるのだ。
【改良訳】だがそうではない。葉が地面に落ちると、そこから新たなサイクル(循環)が始まるのだ。
【訳出上のポイント】
dirtの指定訳語が「土」になっていますが、このような訳語は絶対的なものではありません。指定用語をそのまま使うと明らかに不自然な場合、前後の内容から判断して自然な類義語を選択するのは実際の仕事でもよくあることです。上記の改良訳ではdirtを「地面」とし、hitも自然な訳語を工夫しています。さらに直後に「そこから」という言葉を補ってさらに自然な日本語となるように工夫しています。このようにわずかに言葉を補うことによって日本語を改良するのは実務翻訳でも多用されるテクニックです。

(第4文)


【原文】All those brightly colored leaves are like candy for fungi and bacteria on the ground.
【直訳例】それらのすべての明るく色づいた葉は、地表の菌類やバクテリアにとってはキャンディーのようなものだ。
【改良訳】鮮やかに紅葉した葉はどれもみな、地表の菌類やバクテリアにとっては甘いキャンディーのようなものだ。
【訳出上のポイント】
2箇所の訳語選択がポイントです。1つは前半のbrightly colored leavesについて「紅葉した」という対応表現があることに気づくことです。後半のcandyは比喩的表現ですので「甘いキャンディー」のようにわずかに言葉を補うと原文のニュアンスが読者に伝わりやすくなります。

(第5文)


【原文】These decomposers make nutrients available for other organisms.
【直訳例】これらの分解者たちは他の生き物にとって利用可能な栄養物を作り出す。
【改良訳1】これらの分解者たちは、他の生き物の栄養となる物質を作り出す
【改良訳2】これらの分解者たちは、他の生き物が栄養として利用できる物質を作り出す
【訳出上のポイント】
直訳のままでは「他の生き物にとって利用可能な栄養物」の形容詞句の部分が長すぎる感じがあります。ここでも、わずかに語順を変えることによって日本語を読みやすく改良しています。【改良訳1】のように簡潔な表現にしてもよいし、【改良訳2】のように「他の生き物が栄養として利用できる物質」と品詞を転換して訳してもよいでしょう。

訳例


炭素を土に閉じ込める
毎年、春が来ると、植物は花を咲かせ、木々は青々とした葉を生い茂らせる。
秋になり、降り積もった落ち葉を踏みしめていると、葉のライフサイクルはこれで終わったと思うかもしれない。
だがそうではない。葉が地面に落ちると、そこから新たなサイクル(循環)が始まるのだ。
鮮やかに紅葉した葉はどれもみな、地表の菌類やバクテリアにとっては甘いキャンディーのようなものだ。
これらの分解者たちは、他の生き物たちが栄養として利用できる物質を作り出す。

以下、次回の翻訳課題です。

Q [英和課題] 以下の英文を「である」「だ」調で翻訳してください。

Animals without oxygen, underwater
Scientists recently found three animal species living two miles below the surface of the Mediterranean Sea.
They're multicellular organisms, which means their bodies have many cells.
They're also tiny and look like tiny umbrellas with legs.
The most exciting thing about these creatures, say the scientists, is that they apparently don't need oxygen to live.
What biologists know about life so far is that only single-celled organisms can live in places that have no oxygen, and that multicellular organisms can visit these places, but not live there.

ヒント


新種生物に関する科学記事の一部抜粋。次の訳語を使用する。
oxygen(酸素)、multicellular(多細胞生物)、umbrellas(傘)、legs(足)、multicellular organisms(単細胞生物)

それでは、次回のこのコーナーでまたお会いしましょう!


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