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実践・実務翻訳のコツ(第16回)−中上級へチャレンジ!

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執筆:佐藤洋一(さとう よういち)
佐藤翻訳事務所代表
東京都出身。国際基督教大学教養学部理学科卒業後、東京工業大学大学院修士課程を修了。
在学中から、論文などの翻訳を始め、フェロー・アカデミーで学んだ後、(株)日本テックを経て、フリーの実務翻訳者として独立。翻訳学校講師も勤めている。『はじめての理系英語リーディング』(アルク)や『詳解 技術英文大全』(オーム社)など、著書・訳書も多数。
Q [前回の課題] 以下の英文を「である」「だ」調で翻訳してください。

Secrets of an Ancient Computer
Computers go back farther in history than you might imagine.
A mysterious mechanism found in a 2,000-year-old Greek shipwreck may have been used to calculate the positions of planets, predict when eclipses were to occur, and do other astronomical chores.
Known as the Antikythera mechanism, the device is about the size of a shoebox.
When it was found underwater about 100 years ago, the mechanism was in poor shape.
Its metal pieces had congealed into one mass, then broken into pieces.

ヒント


古代のコンピュータに関する科学記事の一部抜粋。この機械は「Antikythera(アンティキティラ)の機械」と呼ばれる。

今回のポイントは、原文の真意を正しく汲み取り、過不足のない表現で訳文をまとめることです。

また、今回の課題には解釈上、迷う箇所がいくつかあります。それが正しく見抜けたでしょうか。

以下、個々の英文について、個別に訳出上のポイントを解説します。

【原文】の赤字部分が訳出上のポイントで、【改良訳】の赤字部分がそれに対応する改良箇所です。【訳出上のポイント】の太字部分が訳出上のポイントを上手に処理するためのテクニックです。

(タイトル)


【原文】Secrets of an Ancient Computer
【直訳例】太古のコンピュータの秘密
【改良訳】古代コンピュータの謎
【訳出上のポイント】
直訳でも問題ありません。ただし「太古の」というと恐竜時代のような大昔の感じがしてしまいます。このようなタイトルは、本文を読んでから訳すとよいでしょう。本文の第2文から2000年前の話だと分かりますので、「古代(の)」のほうが自然な日本語表現といえます。

(第1文)


【原文】Computers go back farther in history than you might imagine.
【直訳例】コンピュータは、あなたが想像するよりもはるかに歴史をさかのぼる。
【改良訳】コンピュータの歴史は、一般に想像されている以上に古いものだ。
【訳出上のポイント】
go back farther in history than you might imagineは、直訳のままでも十分に意味は通じます。ただし、改良訳のような日本語として自然な表現を見つけるにはちょっとしたテクニックが必要になります。ここでのポイントはyouの解釈です。このyouは「あなた」という意味ではなく、一般論を述べるときの用法です。そこに気づけば、「一般に、通常、多くの人が」のような自然な対応表現を見つけることができます。このyouの用法は、実務翻訳でもしばしば登場しますので、しっかり覚えておいてください。

(第2文)


【原文】A mysterious mechanism found in a 2,000-year-old Greek shipwreck may have been used to calculate the positions of planets, predict when eclipses were to occur, and do other astronomical chores.
【直訳例】2000年前のギリシャの難破船で発見されたミステリアスなメカニズムは、惑星の位置計算、日食や月食の発生時期の予測、その他の天文学的な用途に使われていた可能性がある。
【改良訳】2000年前のものとみられるギリシャの難破船から不思議な機械が発見された。その機械は、惑星の位置計算、日食や月食の発生時期の予測、その他の天文学的な用途に使われていた可能性がある。
【訳出上のポイント】
まず、直訳例では主部が長いので、A mysterious mechanism found in a 2,000-year-old Greek shipwreckを独立した文としてまとめています。また、ここではmechanismの訳がポイントです。日本語の「メカニズム」は「仕組み、機構、構造」というやや抽象的な意味として使われることが多く、なんとなくイメージが漠然としてしまいます。この場合は、読者が具体的なイメージを抱けるように訳語を工夫するとよいでしょう。ここでは、難破船から、used to以下のような用途をもつ不思議な機械が見つかったことを述べていますので、mechanismの訳語としては、直後の文も考慮したうえで「機械、装置」あたりが適訳でしょう。

(第3文)


【原文】Known as the Antikythera mechanism, the device is about the size of a shoebox.
【直訳例】Antikythera(アンティキティラ)のメカニズムと呼ばれ、この装置は靴箱程度の大きさだ。
【改良訳】この装置は「Antikythera(アンティキティラ)の機械」と呼ばれ、靴箱程度の大きさだ。
【訳出上のポイント】
ここは前文と同様に、mechanismの訳語を統一するとよいでしょう。また、分詞構文は主語を先頭に出すと読みやすくなります。また、the Antikythera mechanismと「周知、既知」を表す定冠詞theが付いていますので、定訳がないかどうかネットなどで検索することも大切です。

(第4文)


【原文】When it was found underwater about 100 years ago, the mechanism was in poor shape.
【直訳例】約100年前に海中で発見された時、その機械は貧弱な形状だった。
【改良訳】約100年前に海中で発見された当時の保存状態は良くなかった
【訳出上のポイント】
後半のthe mechanism was in poor shape.の部分がポイントです。ここは逐語訳にこだわらず、思い切って対応表現を工夫することをお勧めします。ただし、対応表現は単なる思い付きや想像で訳すのではなく、誰が訳してもほぼ同じになるものでなければなりません。そのための重要な判断基準となるのが前後関係です。ここでは、直後の文から常識的に判断することが大切です。金属製の機械が海中に2000年も沈んでいればどうなるかは明らかでしょう。それを考慮したのが改良訳です。

(第5文)


【原文】Its metal pieces had congealed into one mass, then broken into pieces.
【直訳例】それらの金属の破片は1つの塊に凝固し、それから破片に壊れた。
【改良訳】金属の部品が互いにくっついて1つの塊になった後、しだいに形が崩れてボロボロになっていたのだ。
【訳出上のポイント】
ここは文全体の解釈がポイントです。逐語訳のままでは意味不明な日本語になってしまいます。ここでは、状況を生き生きとイメージできる表現を心がけるとよいでしょう。ここでも一般常識を活用するのがコツです。金属のピース(破片)は、海中の中でいったん腐食して1つの大きな金属の塊のようになりますが、そのうち海流などの影響でバラバラになって散乱します。
なお、最後のthen broken into pieces.の部分は、「壊れてバラバラになった、形が崩れてボロボロになった」のように頭から訳すとよいでしょう。

訳例


古代コンピュータの謎
コンピュータの歴史は、一般に想像されている以上に古いものだ。
2000年前のものとみられるギリシャの難破船から不思議な機械が発見された。その機械は、惑星の位置計算、日食や月食の発生時期の予測、その他の天文学的な用途に使われていた可能性がある。
この機械は「Antikythera(アンティキティラ)の機械」と呼ばれ、靴箱程度の大きさだ。
約100年前に海中で発見された当時の保存状態は良くなかった。
金属の部品が互いにくっついて1つの塊になった後、しだいに形が崩れてボロボロになっていたのだ。

いかがでしょうか。今回の英文を上手に訳すポイントは前後の文の内容を考慮して訳すことです。

それにより、単独の文では訳しづらい英文でも、前後関係から判断して状況を具体的にイメージして訳すことができます。

特に最後の2文は、そうした文脈判断の力が判定できる部分ですのでぜひご参考にしてください。

以下、次回の翻訳課題です。今回の課題の続きの英文です。

Q [英和課題] 以下の英文を「である」「だ」調で翻訳してください。
"The computer tomography images of the mechanism have literally opened the device up to us to see how it worked," says John M. Steele, who studies ancient astronomy at the University of Durham in England.
The researchers discovered that the mechanism had at least 30 bronze gears with as many as 225 teeth, likely all cut by hand.
With the added information, the researchers came up with a new model for how the mechanism operated. The model takes into account 29 of the 30 known gears and adds five more that were probably there but never found.

ヒント


古代のコンピュータに関する科学記事の一部抜粋。前回の課題の続き(一部を割愛)。大学名、人名は英語のままで表記すること。

それでは、次回のこのコーナーでまたお会いしましょう!


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