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実践・実務翻訳のコツ(第6回)−中上級へチャレンジ!

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執筆:佐藤洋一(さとう よういち)
佐藤翻訳事務所代表
東京都出身。国際基督教大学教養学部理学科卒業後、東京工業大学大学院修士課程を修了。
在学中から、論文などの翻訳を始め、フェロー・アカデミーで学んだ後、(株)日本テックを経て、フリーの実務翻訳者として独立。翻訳学校講師も勤めている。『はじめての理系英語リーディング』(アルク)や『詳細 技術英文大全』(オーム社)など、著書・訳書も多数。
Q【前回の課題】以下の英文を「ですます」調の日本語に翻訳してください。
The ease with which you can move around in CAD-3D ― rotating around objects, zooming in and out on the specific details ― simulates the natural movements of an artist working on his/her/ creation.

ヒント


3D(立体)的な画像でコンピュータ上で部品を設計できるCADシステムのマニュアルの英文。CAD-3Dは製品名。zoom in(out)「拡大(縮小)する」、object「(制作中の)オブジェクト」、simulate「シミュレートする」、creation「作品」

今回はやや難しい課題です。情報を整理して読みやすい日本語に仕上げることができたでしょうか。まずは素直に直訳してみましょう。

直訳例


CAD-3Dにおいて周囲を移動できる容易性、すなわちオブジェクトの周囲を回転したり、特定の詳細を拡大したり、縮小したりすることは、作品を制作中の芸術家の自然な動きをシミュレートします。

このままでも言いたいことはそれなりに分かる日本文となっています。ただし、いわゆる翻訳くささが感じられる訳文になっています。特に主部の「CAD-3Dにおいて周囲を移動できる容易性」の部分をもう少し整理したいところです。

ここでのポイントは「情報を整理して読みやすい日本語に仕上げること」です。この観点から見ると、上記の直訳例は冒頭部分に改良の余地があります。

ここでは、表現の工夫として、冒頭部分の「The ease with which you can move around in CAD-3D」を1つの独立した文としてみなすことをお勧めします。

そこで、以下のように「和文和訳」という推敲プロセスを行ないます。

和文和訳プロセス


「CAD-3Dにおいて周囲を移動できる容易性」
⇒CAD-3Dにおいては、容易に周囲を移動できます。
⇒CAD-3Dにおいて、オブジェクトの周囲を容易に移動できます。
⇒CAD-3Dでは、オブジェクトの周囲を容易に移動できます。

冒頭部分の英文は、「The ease with which you can move around (the object) in CAD-3D」のように( )内のthe objectを補って読むのがコツです。

ちなみにaroundは前置詞と副詞の用法があり、この場合は副詞扱いです。意味としては「あちこち、方々に、動き回って、周囲をぐるりと」という意味です。「around the object」のthe objectが省略された形とみなすことができます。

 ここで1つ疑問がわいてきます。「オブジェクト」とは、PC画面上で制作している3D画像(立体画像)のことです。上記の英文で使われているmoveは自動詞と他動詞の両方の用法があるので、オブジェクトの制作者が「オブジェクトを移動する」(you can move the object)というのが自然な発想です。

したがって、moveを他動詞とみなし、「The ease with which you can move the object around in CAD-3D」(CAD-3Dでは、オブジェクトをあちこちに容易に動かすことができます。)のような解釈も考えられるのです。

一体どちらの解釈が正しいのでしょうか?

ここはベテラン翻訳者でも少し迷うところですが、「迷ったら先を読み進め」という翻訳業界の格言通り、後に続く文を読んでみましょう。

すなわちオブジェクトの周囲を回転したり、特定の詳細を拡大したり、縮小したりすること

ここまで読むとだいぶ分かるのですが、さらに読み進めてみましょう。

作品を制作中の芸術家の自然な動きをシミュレートします。

 ここまで読んではっきりしました。

要するに、ここでは「彫刻家が彫像を制作するときのように、作品の周囲をぐるりと歩き回って出来栄えを見たり、細部に近寄って仕上げをしたり(ズームイン)、あるいは少し離れたところに立って作品を眺めることにより全体のバランスをチェックしたりすること(ズームアウト)」のように、芸術家が作品を制作するような状況を描いているわけです。

以上をまとめて訳文を改良すると、訳例は以下のようになります。

訳例


CAD-3Dでは、オブジェクトの周囲を簡単に移動できます。すなわち、オブジェクトの周囲をぐるりと一周したり、特定の細部を拡大したり、作品全体をズームアウト(縮小)したりすることができます。これは、芸術家が作品を制作する際の自然な動きをシミュレートするものです。

いかがでしょう。最初の直訳例と比較して、状況が視覚的にイメージしやすくなったと思います。また、3つの文に分けたことによって、文として読みやすくなっただけでなく、それぞれの情報の違いが鮮明になったと思います。

ここでは、以下の3つのテクニックを利用しています。


和文和訳の推敲プロセスを利用すること
情報を視覚的にイメージしてみること
情報を整理して情報単位ごとに独立した文にすること

これらのテクニックは実務翻訳の基本テクニックですので、しっかりマスターしてください。
以下、次回の翻訳課題です。

Q 【英和課題】以下の英文を「である」または「だ」調で翻訳してください。
By the time a hamburger finally lands on a dinner plate, it has taken a heavy toll on the environment. The process of making a one half-pound all-beef burger adds the equivalent (made up of other greenhouse gases) of about 19 times that hamburger’s weight in carbon dioxide.

ヒント


ハンバーガーと地球温暖化の関係について述べた文です。
dinner plate 「食卓」、heavy toll「大きなダメージ」、greenhouse gases「温室効果ガス」、carbon dioxide「二酸化炭素」

それでは、次回のこのコーナーでまたお会いしましょう!


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