「どうしたら英語が上達するか」という議論のなかでしばしば欠落しているのは、「何のために英語を習得したいのか」という実感的な目標設定ではないだろうか。英語上達の第一歩は明確な学習目標を設定すること、方法論は二義的だということを、折りにふれて説いているが、プロの翻訳家になるためにも目的意識をもつことが大切だと思う。
そのためには、まず「現在位置」を知らなければならない。つまり自分の現在の力量を客観的に把握することだ。
ロシアの街角には「案内図」があまりないそうだ。日本なら鉄道の駅の前やショッピングセンターなどに必ずある掲示板式の地図のことだが、たとえあったとしても「現在位置」を示す印(英語ではYou are here.→ などと書く)がついていないので、役に立たないという。どんなにきちんとした地図があっても、自分が現在どこにいるのかがわからなければ、目的地にたどり着くことはできない。
翻訳の学習は独学ではなかなか難しい。ただ漫然と英文を読んだり、訳す練習を続けていても、率直に言ってあまり効果は見込めない。つい自己満足に陥ってしまうからだ。やはりプロの翻訳家に訳文をチェックしてもらい、己の弱点を知っておく必要がある。
目標を設定する際には、S-M-A-R-T-Sの考え方が役に立つ。 |